合併問題の視察調査(2000年11月)

 議会内でもまだ合併問題に関心が低かった2000年の時点で、総務常任委員長として下記の報告書にあるような視察調査を企画し、委員会のメンバーと視察に行きました。合併という同じテーマで二箇所の視察を行うことは稀ではありましたが、委員会及び議会として合併に対する関心を高めるねらいもありました。

多治見市議会議長
 木全 迪昭 様

総務常任委員会 視察調査報告書

平成12年11月28日
総務常任委員会 
委員長 山本勝敏


■視察調査参加者

 委員長 山本勝敏    副委員長 岡田智彦    委員 若尾円三郎
 委員   井上あけみ   委員    増本喜代光   委員 若尾靖男
 委員   木全迪昭

■視察調査概要

 1. <場所> 埼玉県富士見市(人口約10万人)
   <内容> 2市2町合併について(富士見市・上福岡市・大井町・三芳町)
   <日時> 平成12年11月13日(月)14:00〜16:00
   <担当> 富士見市・上福岡市・大井町・三芳町合併協議会
                    事務局次長 岩崎信夫氏 他
          富士見市議会 事務局長   石川 勇氏 他

 2. <場所> 東京都保谷市(人口約10万人)
   <内容> 2市合併について(保谷市・田無市)
   <日時> 平成12年11月14日(火)10:00〜12:00
   <担当> 田無市・保谷市合併協議会
                    事務局次長 斉藤 治氏 他
          保谷市議会  事務局次長 島崎隆男氏 他




1. 富士見市 「2市2町合併について(富士見市・上福岡市・大井町・三芳町)」

【調査理由】

 昨今、多治見市やその周辺において、各方面から合併に関する話題が頻繁にあげられている。また、自治省による市町村合併の推進や地方分権時代の到来などにより、全国的に合併の潮流が訪れていると言える。
 このような状況下で、多治見市もいずれ合併について、今以上に検討を進める必要が生じると考え、現在合併を検討中である富士見市を調査することとした。
 なお、富士見市は、住民発議により合併協議会が設置されている。

【調査報告】

平成10年の2市2町与党議員連盟による合併の要望に始まり、平成11年に東入間青年会議所(JC)が署名活動を行い、住民発議によって、富士見市・上福岡市・大井町・三芳町合併協議会が、平成12年4月に設置された。
 ただし、この協議会は合併を前提とはしておらず、今後、協議会で合併の是非について検討し、平成14年3月までに合併するかどうか結論を出す予定である。
 現在は、各首長の合併問題へのスタンスにはかなりの違いがあり、富士見市長は「合併の必要性はある」、上福岡市長は「平成16年度中に合併を」、大井町長は「合併には否定的ではないが、広域連合という考え方もある。5年後の国勢調査では市に昇格できる可能性もあり、タイミングも考えたい」、三芳町長は「合併にはまったくの白紙。議員や住民には合併反対の声が根強い」(以上平成12年4月1日読売新聞)と述べており、先行きは不透明である。
 以下に、先方の説明と資料に基づき、詳細についてまとめておく。


<2市2町の規模と署名数など>

 

人口(人)

H12.3現在

有権者数(人)

H11.6.2現在

※有効署名総数(人)

<有権者に対する
割合>

面積

(平方キロメートル)

H11一般会計
歳出決算額

(百万円)

財政力
指数

富士見市

101,171

80,001

8,129<10.2%>

19.70

26,281

0.630

上福岡市

54,466

45,315

6,214<13.7%>

6.81

18,263

0.737

大井町

44,875

34,604

3,870<11.2%>

7.86

11,039

0.764

三芳町

35,194

28,287

3,076<10.9%>

15.30

10,117

1.014

合計

235,707

188,207

21,289<11.3%>

49.67

65,701

-

※有効署名総数:平成11年5月〜6月のJCによる署名活動結果


<合併問題の前提となった広域での取組み状況など>

・広域行政圏「埼玉県西武第一広域行政推進協議会」(S56?)
  …この2市2町を含む10市2町で構成

・まちづくり協議会「埼玉県首都近郊(入間東部)都市づくり協議会」(H2?)
  …この2市2町で構成

・2市2町共同事業
  「入間東部地区衛生組合」(S42?)
  「入間東部地区消防組合」(S45?)

・2市2町与党議員連盟

・東入間青年会議所 …2市2町で構成

・医師会 …2市2町で構成


<これまでの主な経過>

平成10年11月 2市2町の与党議員連盟(約60名)が「2010年以内の合併」を
          まちづくり協議会(会長:富士見市長)に要望
          …事実上の合併運動のスタート

平成11年 5月 東入間青年会議所(JC)が「合併協議会の設置請求」の署名活動を
           2市2町内において開始
          …JCが応募した669名のボランティアが中心となり署名活動を展開

      6月 署名活動を終了
          …住民発議には有権者の2%の署名が必要だが、これを大幅に上回る
            平均11.3%の署名を集めた(前記の表を参照)

      7月 署名簿の審査などの諸手続

      8月 JCが2市2町の長に対して、合併協議会の設置請求

          10月 2市2町の長は合併協議会設置の協議について議会に付議することとした

          12月 2市2町の議会が合併協議会設置の協議について可決
          …各議会とも共産党以外の賛成多数で可決

平成12年 3月 設置についての協議と規約についての協議を締結

      4月 合併協議会を設置
          …委  員:2市2町の長、同助役、同議会正副議長、同学識経験者(計37名)
           協議項目:(1)合併の是非を含めた2市2町の合併に関する協議
                  (2)合併特例法第5条に基づく新市建設計画の作成
                  (3)2市2町の合併に必要な調査研究

      5月 合併協議会第1回会議
          …予算などを承認(平成12年度予算:26,000千円(6,500×4市町))

      8月 合併協議会第2回会議
          …新市将来構想案、住民等への情報提供などについて協議

      9月 合併協議会だより(創刊号)の発行
          合併協議会ホームページの開設

          10月 住民意識調査の実施


<今後の予定>

平成12年度     ・新市将来構想の基礎調査
            ・公開セミナーなど

平成13年度    ・新市将来構想案の作成
            ・新市将来構想案の住民説明会の開催
            ・合併の是非に関する方向性の確認(平成14年3月までに結論を出す)
            →非となった場合=合併協議会を解散
            →是となった場合=合併に向けた具体的協議の開始

平成14年度以降 ・新市建設計画原案の策定
            ・合併協定項目の協議(合併方式、合併時期、新市の名称、他多数)
              ↓
            ・新市建設計画の策定
            ・合併協定書の調印
            ・2市2町の議会の議決
            ・合併申請書の作成
            ・埼玉県?市の誕生


【所感】

2市2町与党議員連盟の決断力、JCの行動力など、参考となる点が多いと言える。特に、1ヶ月という短期間に、必要数の5倍以上の署名が集まったことは驚きであるとともに、地域住民の合併問題への関心の高さがうかがえる。
 また、各首長の意見の相違はどの地域でも想定されることであるが、このケースは、住民発議制度が利用されれば、首長の考えとは関係なく合併協議会という公の検討の場を設けることが出来る、という良い事例であると言える。
 今後どのような経過を経て、どのような結論が出されるのか注目したい。



2. 保谷市 「2市合併について(保谷市・田無市)」

【調査理由】

 富士見市と同様の理由で、保谷市を調査することとした。
 なお、保谷市では、富士見市のように住民発議はなされておらず、行政・議会主導で合併協議会が設置されたようであり、両者の相違点などについても調査したいと考えた。

【調査報告】

 保谷市が田無市を取り囲むような地形になっており、一体的な市街地が形成されている。
 古くは昭和40年代にも合併話があったが、当時はそれぞれが町から市となり、合併には至らなかった。
 平成9年に、両市の市長がそれぞれ合併を公約に掲げて当選してから、具合的な動きが出てきた。先ずは、任意の合併協議会が設置され、新市将来構想などを策定した。その後、法定の合併協議会が設置され、新市建設計画の策定や合併に関する協議が行われた。
 そして、最終的に合併するかどうかの判断を、市民意向調査(投票方式)にゆだね、投票結果が賛成多数であったことから、予定通り平成13年1月に合併し、西東京市が誕生することとなった。
 市民説明会、市民意向調査などを実施し、全体的に市民参加で進められた。
 当初慎重派であった議員も、市民意向調査の結果を踏まえ、賛成派に転じた。また一方では、一度も合併を経験していない田無市において反対運動も起こった。
 以下に、先方の説明と資料に基づき、詳細についてまとめておく。


<2市の人口と面積>

 

人口(人)

面積(平方
キロメートル)

田無市

76,631

6.80

保谷市

101,582

9.05

合計

178,213

15.85


<これまでの主な経過>

昭和40年代   合併協議会(法定)を設置したが、合併には至らなかった

平成  9年 1月 保谷市長が「田無市との合併」を公約に再選

             4月 田無市長が「保谷市との合併」を公約に4選

             9月 保谷市議会にて、合併協議会設置の決議が議員提案で可決
                …賛成12名、反対4名、その他は退席

      11月 田無市議会にて、合併協議会設置の決議が議員提案で可決
                …26名のうち反対8名

      12月 田無市・保谷市合併協議会(任意)設立準備会を設置

平成10年 2月 田無市・保谷市合併推進協議会(任意)を発足
          …委員:両市の市長、同助役、同企画部長、同総務部長、同議員各7名
            予算:32,004千円
             延べ12回の会議を開催、両市合併の意義や効果を中心に検討を行う

             6月 新市将来構想策定委員会(合併推進協議会の付属機関)を設置
          …委員:学識経験者2名、市民代表12名、行政代表4名(計18名)
             延べ11回の会議を開催
             新市のまちづくりのイメージについて検討を行う

平成11年 5月 「新市将来構想案中間まとめ」に関する市民説明会の開催

             7月 新市将来構想を策定
                …合併の意義と効果、新市のまちづくりの2本柱

            *合併の必要性
              ・地方分権潮流から
              ・高齢化の進展から
              ・年少人口、生産年齢人口の減少から
              ・地域特性から

            *合併の効果
              ・地域一体的なまちづくりの実現
              ・行政サービスの向上
              ・住民負担の軽減
              ・財政力強化(31億円の効果)
              ・行政力強化

             9月 両市議会において、合併協議会(法定)設置について可決

      10月 田無市・保谷市合併協議会(法定)を設置
                …委    員:2市の市長、同助役、同議員各7名、学識経験者10名 (計28名)
                   予    算:27,002千円
                   担任事務:(1)2市の合併に関する協議
                         (2)2市の合併に伴う新市建設計画の作成

      10月  合併期日は平成13年1月を目標とし、合併方式は対等合併に決定

      11月 新市名の公募の開始(2ヶ月間)

      12月 合併による財政効果は、10年間で約189億円と試算

平成12年 1月 新市建設計画の重点施策(4施策)を決定
           …(1)合併記念公園の整備 
            (2)コミュニティバスの運行
            (3)地域情報化の推進
            (4)ひばりヶ丘駅周辺のまちづくりの推進

             3月 新市名最終候補を5候補に決定(応募総数約8,700件、種類3,000種以上)
                …みどり野市・けやき野市・ひばり市・北多摩市・西東京市

             3月  主たる事務所は田無市役所に決定、ただし市民窓口は現両市役所に設置
                …田無市役所の方が新しいため

             4月 新市建設計画を作成
                …計画期間10年間の概算総事業費は589億円

             7月 市民説明会の開催(計17回)

             7月 市民意向調査の実施

                …調査項目  :(1)合併についての賛否(賛成・反対・どちらともいえない)
                          (2)新市名について(五者択一)
                          (3)力を入れて欲しい施策について

                  調査方法 :投票所を設けて、選挙方式で実施

                  特     徴 :投票資格を満18歳以上としたこと
                           投票時間を午後10時までとしたこと
                           理由なしで不在者投票できるようにしたこと
                           投開票オンブズマンの導入(公正性・透明性の確保)

                  結果の反映:合併についての賛否
                   →いずれか一方または両市において、
                    「反対」票が「賛成」票を上回る場合は、
                    合併の期日その他の協議事項の内容を見直す
                    ものとする、ことを事前に決定しておいた

                …投票結果 :投票率=田無市45.04%、保谷市43.51%、合計44.17%

                  開票結果 :

                                (1)合併についての賛否

 

田無市

保谷市

合計

賛成

13,971

24,014

37,985

反対

12,288

9,359

21,647

どちらともいえない

2,529

3,387

5,916

                                (2)新市名について
                   @西東京市17,638票、Aひばり市13,752票…

             8月 新市名は「西東京市」、合併期日は平成13年1月21日に決定

             8月  合併調印、両市議会での議決、都知事への合併申請

             9月 都議会での議決、以降諸手続


【所感】

 両市長が合併に前向きで、これを受ける形で両議会が議員提案によって合併協議会(任意)設置の決議を行うなど、当初は行政主導・議会主導で進められた。その後は、市民主体の委員会の設置や市民説明会などを経て、最終的に市民意向調査といういわゆる住民投票により合併を決定したことは、住民主導であったと言える。
 この行政・議会からスタートをし、最終的には住民が決定するという流れは、合併における一つのモデルケースと言える。この場合は、先ずはトップの姿勢が重要である。
 今後は、合併後の実際の合併効果やまちづくりのあり方について注目したい。

以上