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多治見市議会議長
水野忠勝 様
経済建設常任委員会 視察調査報告書
平成11年11月1日
報告者:経済建設常任委員長
山本勝敏
■視察調査参加者
委員長 山本勝敏 副委員長 水野由之 委員 宮嶋由郎
委員 伴野誠治 委員 木全迪昭 委員 三宅 昇
事務局 鈴木貴宣
■視察調査概要
1. <場所> 静岡県富士宮市(人口約12万人)
<内容> 太陽光発電装置の設置に対する補助制度について
<日時> 平成11年10月19日(火)13:00〜15:00
<担当> 企画部企画調整課政策推進係長 渡辺孝秀氏
2. <場所> 静岡県浜松市(人口約58万人)
<内容> (1)トランジットモールの試験導入結果について
(2)オムニバスタウン計画について
<日時> 平成11年10月20日(水)9:00〜11:00
<担当> 都市計画部都市計画課都市交通係 原 雅夫氏
都市計画部都市計画課 河村明百氏
1. 富士宮市 「太陽光発電装置の設置に対する補助制度について」
<調査理由>
環境問題、エネルギー問題などに対応するため、自治体としてのエネルギー政策が今後必要と考えられる。特に自然エネルギーの活用を積極的に進めるという観点から、太陽光発電の先進地である富士宮市を調査することとした。
<調査報告>
国(資源エネルギー庁)が平成6年度から始めた「住宅用太陽光発電システムモニター事業」(当初は設置費の半額補助、現在は3分の1)に呼応して、富士宮市は平成7年度から全国で初めて、国の補助に上乗せ補助(当初は設置費の6分の1、現在は12分の1)する制度を開始している。
この制度の背景としては、一つには、平成6年の「環境美化都市」宣言、「ゴミ散乱防止条例」制定、その他「古紙リサイクル助成」開始や「清掃センターでの余熱利用」など環境問題に対する取り組みが高まってきていたことが挙げられる。またもう一つには、当時市内で開催された太陽光発電の勉強会の参加者のうち3名が実際に発電装置を設置し、彼らが市議などに働きかけ、議会の一般質問でも補助制度の提案があったことが挙げられる。
この制度の目的としては、太陽光発電は地球規模での環境問題やエネルギー需要の増大による資源枯渇問題の解決のために有効であるが、装置設置費の大幅なコスト高によりそれほど普及していないのが現状であるので、国の補助にさらに市独自として補助を上乗せすることにより、その普及を図ることにある。また、同時に富士山のあるまちとしてのクリーンなイメージを醸成することも目的としている。
イメージの醸成という点では、全国初の制度ということもあり、NHKでも取り上げられたり、全国からも多数の問い合せがあるなど、PR効果は大きかった。
制度の概要としては、対象者は、自ら居住する市内の個人住宅に太陽光発電装置を設置する者で、国の補助制度に応募し予約番号通知を受領した者。つまり、国の補助を結果的に受けられなくても市は補助するということ(ただし、現在は国の予算拡大などにより、ほとんどが国の補助も受けられるようになっている)。補助金額は、1Kw当たりの装置価格の12分の1の額(上限85,000円)に最大出力(上限4Kw)を乗じた金額。つまり最高で340,000円。
この制度を利用した場合の設置者負担額を試算してみると、3.5Kwで400万円の設置費用とした場合、国の補助金=1,250,000円、市の補助金=313,000円となり、設置者負担額=2,437,000円となる。この先行投資の回収年数を試算すると、電気料金の節減額を年額100,000円とした場合、24年間で回収となる。
これまでの実績としては、
平成 7年度 = 2件/市の補助額2,447,000円
平成 8年度 = 5件/市の補助額3,118,000円
平成 9年度 = 7件/市の補助額2,044,000円
平成10年度=11件/市の補助額3,247,000円
平成11年度=16件/市の補助額4,560,000円(決定分)
であり、順調に件数が伸びてきている。
また、平成11年4月に開館した総合福祉会館には、10Kw防災型太陽光発電システムが設置されており、この施設見学をした。このシステムは、会館全体の電力使用量に比べ非常に小規模であるので、発電という役割よりも利用者や市民へのアピールの役割が大きい様である。
なお、その他の自治体の動きとしては、平成9年度から川越市、瀬戸市、呉市の3市が、平成10年度から上越市、名古屋市、春日井市など計12市町が、平成11年度からは計15市区町が補助制度を開始しており、現在は31自治体となっている。この他にも、融資や利子補給を行っている自治体が6件ある。また、静岡県では、県としての補助制度も検討中とのことである。
<所感>
富士宮市の実績、他市の動向、及び近年の環境問題やエネルギー問題を踏まえて、多治見市でも財政的な課題を考慮しつつ同様の施策の検討を行ない、太陽光発電など自然エネルギーの普及により一層努めるべきであると考える。
2. 浜松市 「トランジットモールの試験導入結果について」
「オムニバスタウン計画について」
<調査理由>
渋滞が日常化している多治見市では最近になって新しい道路網構想が策定されたが、今後はこのような「道路容量拡大」のみならず、「交通需要マネジメント」や「マルチモーダル」と言った施策も含めて、総合的に交通施策を進める必要があると考えられる。また、環境問題・市街地の活性化・高齢者対策などの観点からも、今後の交通施策のあり方を検討する必要がある。
よって、「トランジットモール」を日本で始めて試験導入するなど、交通施策の先進地である浜松市を調査することとした。
<調査報告>
浜松市は、平成9年3月に建設省・運輸省・警察庁から全国で13番目の「総合渋滞対策支援モデル都市(TDMモデル都市)」の指定を受け、さらに平成9年12月には同じく三省庁から全国で最初の「オムニバスタウン」の指定を受けるなど、総合交通施策における全国でも有数の先進地である。
ここでの総合交通施策は、【1】道路容量拡大施策、【2】交通需要マネジメント施策(TDM)、【3】マルチモーダル施策、の3つの施策が基本となっている。各施策の概要は次のようである。
【1】道路容量拡大施策
道路の交通容量を拡大させるために、道路拡幅をしたり、バイパス整備をしたり、交差点や踏切の立体化をする方法のこと。
浜松市では、過去3回のパーソントリップ調査などに基づき、6環状10放射道路の整備を進めている。
【2】交通需要マネジメント施策(TDM)
車の利用者の交通行動の変更を促すことによって、道路交通混雑を緩和する手法のこと。海外ではTDM(トランスポーテーション・デマンド・マネジメント)と呼ばれている。
TDMは、大きく分けて以下の5つになる。
(1)手段の変更 …公共交通機関の利用促進/自転車や徒歩の推奨/
歩行者・自転車ゾーンやトランジットモール等の設置
(2)経路の変更 …道路交通や駐車場情報の提供
(3)自動車の効率的利用…相乗り/企業シャトルバス/物資の共同集配
(4)時間帯の変更 …フレックスタイム/時差出勤
(5)発生源の調整 …勤務日数の調整/通信手段による代替(在宅勤務・通信販売など)
浜松市では、TDMの一つとして「ゾーンシステム(中心市街地交通管理計画)」と呼ばれる計画を昭和60年に定め、現在もその完成を目指して事業実施中である。「トランジットモール」の試験導入も、その一環として行われた。(詳細は後述)
【3】マルチモーダル施策
公共交通と自動車交通といった複数の交通機関の連携による交通施策を推進し、利便性を向上することにより、都市全体の交通を円滑にする手法のこと。
このマルチモーダル施策を実施していくための公共交通システムを構築し、バスの有する多様な社会的意義を発揮させて、快適な都市交通環境の実現を目指すのが「オムニバスタウン」計画である。(詳細は後述)
以上のような大きな総合交通施策の中で、「トランジットモール」や「オムニバスタウン」が実施されている。
「トランジットモールの試験導入結果について」
前述の「ゾーンシステム(中心市街地交通管理計画)」は、JR浜松駅を含む中心市街地において外周道路となる4本の道路で囲まれた約37haの区域を対象としている。主な目的としては、通過交通の排除と歩行空間の創出をし、市街地活性化などにつなげようとするものである。
具体的には、外周道路に囲まれた中心市街地をいくつかのゾーンに分け、ゾーンを区分する境界道路の車の横断を規制し、中心市街地内の一般車両の通り抜けを禁じて、それぞれのゾーンへは外周道路からのみアクセスさせるシステムである。また同時に、バス等の公共交通機関の優遇、モール等の歩行者空間の創出を図って中心市街地の活性化を推進するものである。
この考え方に沿って、これまでは、外周道路の整備、ゾーン内道路のモール整備やコミュニティ道路整備を行ってきている。まだこれらは整備途中であるが、一定の目処がついたため、「ゾーンシステム」の最終段階となる「トランジットモール」の実験を実施することとした。
実験は、境界道路の一つである鍛冶町通りを対象に、平成11年3月に2週間実施された。24時間を3つの時間帯に分けて、時間帯ごとの通行規制を行った。基本的には、一般車両は進入禁止で、バス等の公共交通機関のみ通行を認めた。走行車線には人工芝を敷き詰めて雰囲気づくりにも努めた。
実験結果は、初日は大変混乱したが、しばらくすると中心市街地に車が近づかなくなった。実施後の意見としては、商売の売り上げがダウンした…、空気がきれいになった…など賛否両論であった。結果としては、市街地の活性化は検証できなかった。
反省点としては、2週間では短すぎたこと、ゾーン内に再開発中の地区があったこと、外周道路に未整備部分が残っていたこと、県警との交渉が長引いたためPR期間が短かくなってしまったこと、実験期間中は天候が悪かったこと等が挙げられる。
今後については、ゾーン内の再開発地区や外周道路の整備の状況を踏まえながら、再実験も有り得る。
また、近々同様の実験を行う予定の自治体が他にもあるとのこと。
「オムニバスタウン計画について」
「オムニバス」とは乗合バスの語源で、「オムニ」はもともとは「何の御用にでも役立つ」という意味である。「オムニバスタウン」は、自動車に比べて人やまちや環境に優しいなどの多様性を有するバスによって、快適な交通や生活を目指す街のことである。
浜松市では、昭和61年に市営バスが廃止された後は、市内の路線バスは遠州鉄道のみとなっている。よって、この計画は遠州鉄道との協力により進められている。
この計画は、次の大きな4項目の施策からなっている。
(1)バス走行環境の改善施策
@中心市街地活性化策(トランジットモールなど)
A交通渋滞対策(バスレーンなど)
B交通需要マネジメント(時差出勤、企業通勤バスなど)
(2)バス交通円滑化のための交通施設等整備・改善施策
@主要幹線道路網の整備(2環状10放射)
Aオムニバス導入に向けた道路環境改善(超低床バス対応道路)
Bミニバスターミナルの設置(結節点、電車駅など)
(3)バスの利便性等向上施策
@超低床ノンステップ式コミュニティバスの導入
(高齢者対策、情報発信機能、アイドリングストップ機能)
Aハイグレードバス停設置(情報発信機能など)
B利便性向上(バスロケーションシステムの改善、運賃体系の改善)
(4)バスの社会的意義の認識高揚施策
@バス利用に向けたPR(シンポジウムの開催、子供たちへの啓蒙)
これらの施策を実施することにより、バスの定時性確保、交通弱者への配慮、バス利便性の向上、交通渋滞の緩和、歩行者環境の確保、自動車事故の減少、まちの賑わいの回復、環境負荷の軽減などの改善を見込んでいる。
具体的な計画としては、運輸省分では、平成9年度から平成13年度までの5年間で、総事業費は25億円。予算の内訳は、運輸省3分の1、遠州鉄道3分の1、県6分の1、市6分の1である。最終的には、超低床ノンステップバスを85台、バス車両のコミュニティ化を332台、ハイグレードバス停設置を50ヶ所、バス停付設駐輪場装置を12ヶ所、バスの走行環境改善(公共車両優先信号(PTPS)の整備)を337台などとなっている。
また、遠州鉄道による独自の企業努力も多く見られ、例えば、初乗り料金を150円から100円に値下げしたり、最高料金も1000円以上であったものを630円にしたりしている。この結果、短区間は15%の乗車客の増加となったが、収入は減少した。
なお、その他の自治体の動きとしては、金沢市など2市が既に同様の指定を受けており、岐阜市や静岡市が指定に向けて準備中である。
<所感>
多治見市と比べるとはるかに道路整備が進んでいたり、人口規模の違い、産業規模の違いなどにより、「トランジットモール」にしても「オムニバス」にしてもそのままでは多治見市には適用できないと考えられる。
しかしながら、これらの施策は欧州をはじめ日本各地でも広がりつつある現状や、多治見市においては道路整備の長期化と大きな費用負担が予想されること、また環境問題・市街地活性化・高齢者対策などなどを考えると、今後は少なからず視野に入れるべき施策と考えられる。また現状でも、サイクル&バスライドのための駐輪場設置や公共車両優先信号(PTPS)の整備など、考え方や具体的施策の部分的な導入は十分可能と思われる。
いずれにせよ今後さらなる研究と検討を要す。
以上
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